アルコール検知器(業務用)の性能調査

2019.11.11

市販ハンディータイプの呼気アルコール検知器の性能比較試験に続き、業務用呼気アルコール検知器の性能試験を行いました。

※市販ハンディータイプの性能比較調査はこちら

期間令和元年10月23日~11月4日
検査機関弊社委託機関
検査対象者1名に検査を依頼(測定器が大型になり、持運び困難な為、飲酒常用者に依頼)
検査方法飲酒終了30分後に1回目。60分後に2回目。
検査機器東洋マーク製作所 モデルAC-007-ST プリンターセット
市場価格 / ¥108.541
機種タイプ / 管(ストロー吹きつけ)型
半導体センサータイプ 
測定範囲 / 0.05~2.00ml
※車両を利用し業務とする、タクシー会社、運送業者に調査し測定器を選定。

実測データ

試験番号実施日1回目(mg/l)2回目(mg/l)酒量レベル純粋アルコール量酒類および酒量(概算)
B=ビール WH=ウィスキー
1
10月1日0.570.693120gB 500ml WH 水割り 1000ml
210月3日0.240.15280gB 350ml WH 水割り 800ml
310月5日0.190.28280gB 350ml WH 水割り 800ml
410月6日0.270.23150gWH 水割り 800ml
510月8日0.240.20150gWH 水割り 800ml
610月10日0.220.21150gWH 水割り 800ml
710月12日0.270.27280gB 350ml WH水割り 800ml
810月13日0.130.22150gWH 水割り 800ml
910月14日0.220.23280gB 350ml WH水割り 800ml
1010月18日0.260.21150gWH 水割り 800ml

被験者 / 61才・男性・身長181cm・体重82kg


所感

  1. 検査測定器導入にあたり、複数のタクシー会社、運送業に機器の調査。 各設定後、使用しやすく簡単に検査できるモデルを導入した。 電源は家庭用100Vを使用、据置型となる。
  2. 業務用となり、アルコール検知の数値の幅もあり、詳細に数字が表示される。
  3. ハンディタイプと異なり、機器そのものが大型となり、持ち歩く事は困難となるが、 測定数値に大きな幅は見られず、正確性を感じられる事ができた。
  4. ハンディタイプの検知方式は、「半導体センサー」「燃料電池センサー」とあるが、 業務用では調査の結果、殆どが『半導体センサー方式』であった。この『半導体センサー』には安価な半導体、高度感知を可能とするコストの高い半導体が有り、業務用等では後者である高度感知半導体を機器に利用されている模様。

  5. ハンディタイプの測定段階では、「半導体センサー」「燃料電池センサー」と2通りの検知で測定を行ったが半導体により、測定幅が出て来る事も判明。また測定の際、機器の呼気吸入口に口を近づけて呼気を吹き付けるタイプと管(ストロー等にて呼気を吹き付ける)のタイプでは、管のタイプが呼気を逃がしにくくなる為、正確性を求める測定には管のタイプが向いていると思われる。

以上


【資料】反応物質 その1

半導体センサーの特性上、アルコール又はアルコールに近い成分に反応をする。

例えば、アルコールが微量に含まれる「咳止め薬」や「風邪薬」、「栄養ドリンク」、「入れ歯安定剤」、「口内洗浄剤」の他にも煙草の煙(一酸化炭素)にも反応する。

計測の数時間前に飲食した物により、胃の中で発酵した場合にも微量のアルコールが発生し、検知機が反応する場合がる。

また、調味料の中にある「低カロリー調味料」には「糖アルコール」というアルコールが含まれているため、検知機に反応する場合もある。

種類詳細反応数値
飲食喫煙直後5分後10分後
喫煙煙草の煙
飲料水コーヒー飲料
ジュース飲料
発酵食物キムチ
ヨーグルト
パン
食品系納豆
らっきょ
生わさび
つけもの
糖アルコール(低カロリー甘味料やガム・飴に含まれていることがあります)
・マルチトール:「シュガーレス」「シュガーカット」と、表示がある食品
・エリストール:「カロリーゼロ」という表示がある食品
・キリトール:「シュガーレス」「シュガーカット」と、表示がある食品
薬品系カフェイン剤
睡眠改善剤
せき止め薬
入れ歯安定剤
栄養ドリンク
口内洗浄剤

データ:メーカーホームページより

△:反応する時としない時がある
○:反応する
◎:必ず反応する


【資料】反応物質 その2

飲食した物による胃の中での発酵した場合にも、微量のアルコールが発生し検知機が反応する場合がある。また、調味料の中にある「低カロリー調味料」には「糖アルコール」という、アルコールが含まれているために、検知機に反応する場合もある。

食品や煙草の煙の他にも 、 計測される方の持病にも反応する事がある。

成分原因等
ケトン体アセトン、アセト酢酸、ピドロキシ酢酸の総称
アセトン糖尿病・肥満・脂質代謝の指標・急激なダイエットや飢餓により発生する
インブレンコレステロール合成中間体より生成される
エタン喫煙、気管支喘息、気道感染、肺高血圧「心臓から肺に流れる血の問題・血管」
ペンタン
ブタン
プロパン
アンモニア
水素・メタン腸内嫌気性菌の異常倍増、消化不良症候群
トルエンシンナー
トリメチルアミン腎不全
一酸化炭素ガス中毒、喫煙

データ:メーカーホームページより

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